知能機械学研究



Director: 菅野重樹教授

本研究室では、人間共存型ヒューマノイドロボットWENDYと自律型ロボットWAMOEBAの開発を通して、ロボットの安全機能、人間との触れ合い機能、手先の巧緻性、物理的および心的な人間・ロボットコミュニケーション、感性と運動との関係、機械における心(知能・情緒・意思)の発生などに関する研究を行っています。








WENDY

人間共存ロボット: WENDY



これまでに、家庭や医療・福祉現場などにおいて人間と安全に協調作業ができる人間共存型ロボットのプロトタイプとして、WENDY (Waseda ENgineering Designed sYmbiont)を開発してきました。身長150cm、体重170kg、総計52自由度からなる身体メカニズムと2台のCCDカメラを用いて、人間との物理的・情報的インタラクションを行うことが可能です。








WENDY-OS
実行画面
RHICS
実行画面

人間共存型ロボット用オペレーティングシステム



WENDYの統合制御のために、GUI環境で容易にタスクの教示が可能なオペレーティングシステム(WENDY-OS)を開発しています。また、人間行動の模倣をベースとしたロボット行動生成アルゴリズムを組み込んだシミュレーションシステムRHICS(Robot Human Interactive Communication System)を合わせて開発し、人間とWENDYのコミュニケーションに関する研究を進めています。









7-DOF MIA Arm

7自由度MIAアーム



理想的柔軟性を機械要素によって実現するために、新しい関節機構MIA (Mechanical Impedance Adjuster)を考案しました。MIAには剛性要素として板バネが、粘性要素として電磁ブレーキが組み込まれています。位置制御系とは独立に機械的なばね係数の調節および擬似的な粘性係数の調節ができるので、理想的な関節柔軟性を機構的に実現することが可能です。これまでに、各関節にMIA機構を使用した人間形マニピュレータ(7 D.O.F MIA Arm)を開発し,人間共存ロボットWENDYに組み込んでいます.MIA機構を採用したWENDYは,人間を含む外部環境との接触により生じる外力を受動的に受け止め、容易に追従することができます。










作業性と安全性を両立可能な 物理的インタラクション

人間との物理的インタラクション



WENDYは、力触覚情報が検出可能な表皮カバーを体表面全体に実装しています。これによりWENDYは、人間との接触状況を詳細に認識し、人間の動きに柔軟に合わせて作業するといった多様な物理的インタラクションを行うことができます。また、人間と衝突した際には、検出された力触覚情報に基づいて知的に行動計画をたてることができるので、例えばコップの中身をこぼさないようにしつつ人間の動きに合わせるなどの安全で巧みな作業を遂行することが可能です。









13自由度 ハンド

卵割り

胡瓜切り

ヒューマンミメティックハンド



人間の生活空間内で作業を行うことを想定して、WENDYのハンドはヒューマンミメティックな設計となっています。各関節の自由度配置が人間の手に近いだけでなく、各指の根本には6軸力センサ、指先には硬い爪と柔軟な指腹を備えています。爪の部分では点荷重を、柔軟素材からなる指腹では接触点によって変化する圧力をかけるといった調整が可能なので、複雑な形状の物体を巧みに把持し操ることが可能です。これまでに、卵割りや胡瓜切りなど、微妙な力調節を必要とする作業が行えることを確認しています。









バイオリン演奏装置

感性と運動 バイオリン演奏ロボットを目指して



この研究は、人間の巧みな作業の一つであるバイオリン演奏をロボットで実現することで、ロボットの巧緻性向上を目指しています。その第1段階として、人間の感性と動作の関係を明らかにするため、バイオリンの動きと音との関係を明らかにする研究を行っています。これまでに開発した実験用の演奏装置では、「明るい→暗く」「鋭い→濁った」などといった演奏に関する印象変化の条件を与えると、それを実現するための弓速変化、弓圧変化といったバイオリン演奏の運動パラメータをマルチエージェントシステムにより自動的に計算し、同一曲を全く異なった感性表現で演奏することができます。









WAMOEBA-2R

情緒交流ロボット: WAMOEBA-2R



この研究の目的は、ロボットに人間と同等の知能と情緒を発生させるためのロボットの設計論を導出することと、それによりロボットのコミュニケーション能力を高めることです。そのために、人間や動物の生存における基本評価基準である「自己保存」の機能・機構を導入して開発したロボットが、WAMOEBA-2R(ワメーバ、早稲田のアメーバ、Waseda Artificial Mind On Emotion BAse)です。自己保存から創発する情緒的価値基準、中でも特にコミュニケーション知能の発現、学習、発達に関する実験を行っています。










感情表現色

内分泌系モデル(情動モデル)



WAMOEBA-2Rには、生体を参考とした内分泌系モデルが導入してあります。自己保存に関連するバッテリ電圧や回路温度、消費電流などの状況に応じて、自己の状態(これを情動と呼ぶ)をモニタの色や音声などで外部に表出することができます。









'99国際ロボット展

評価実験



WAMOEBA-2Rと人間とのコミュニケーションを評価するため、東京ビックサイトにおいて開催された'99国際ロボット展(入場者数約15万人)において、デモンストレーションおよびアンケート実験を実施しました。




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