2足歩行ロボット

当研究室における2足歩行ロボットの研究は昭和41年から開始された。2足歩行を機械モデルにより実現することで、人間の歩行メカニズムを工学的視点から解明することを目的としている。機械モデルとして重量モデルを用いたWL(Waseda Leg)シリーズと軽量モデルのWAP(Waseda Automatic Pedipulator)シリーズの2つの流れがある。前者は駆動源に油圧を用い、後者は空気圧を使用しゴム人工筋を駆動している。




WAM-1 (1967)

下肢モデル:WL-1 (昭和41年〜42年)


生体下肢部の歩行機構および機能に着目してその基礎データを解析し、下肢部のモデル化を試み人工の足モデルを設計製作した。実験の結果、歩行動作の基本的なメカニズムを確認した。



WL-3 (1969)

操縦型モデル:WL-3 (昭和43年〜44年)

複動型シリンダを電気油圧サーボ方式で制御する操縦型モデルWL-sを設計製作し人間の遊脚相および立脚相動作、さらに2足で直立および座位状態保持を実現した。



WAP-1 (1969)


ゴム人工筋の導入:WAP-1(昭和44年)

静特性実験により最適形状を決定したゴム人工筋をアクチュエータとして用い、コの字形足部をもつ人間型空気圧式2足歩行機械WAP-1を試作し、ティーチング・プレイバック制御により、2次元2足歩行を実現した。




WAP-2 (1970)

袋形人工筋の導入:WAP-2(昭和45年)

従来のゴム人工筋をはるかに上まわる特性を有する袋形ゴム人工筋をアクチュエータとして用い、足裏に感圧センサを持つ2足歩行機械モデルWAP-2を試作し、センサからのフィードバックにより自動姿勢制御を行う歩行実現の見通しを得た。




WAP-3 (1971)

軽量モデルによる2足歩行の実現:WAP-3(昭和46年)

WAP-2を土台とし、足底に左右方向の重心移動機構を加え、アクチュエータをPWM駆動に変更し、制御装置にメモリを用いたWAP-3を開発し、平地、斜面、階段歩行、さらに平地方向転換も実現した。これは世界初の3次元自動2足歩行の実現である。




WL-5 (1971)


重量モデルによる静歩行の実現:WL-s (昭和45年〜47年)

上体に重心移動の自由度を持ち30kgまでの負荷を搭載し、さらに制御装置としてミニコンピュータを用いたWL-5を製作し、プログラム制御により自動2足歩行および方向転換を実現した。これはWABOT-1の下半身に用いられた(1歩45秒)。




WL-9DR (1980)

準動歩行の実現:WL-9DR(昭和54年〜55年)

制御装置をミニコンからl6bitマイコンに改め、数学モデルの解析を容易にするため足底接地点を3点から4点にしたWL-9DRを製作。設定歩行パターンを用いて世界で初めて準動歩行を実現した(1歩10秒)。




WL-10R (1983)

面歩行の実現:WL-10、10R(昭和57年〜58年)

制御装置を搭載し、構造部材にCFRPを採用し、アクチュエータとしてRSAを用いた機械モデルWL-10号機の股部ヨー軸にRAとサーボ弁を用いた自由度を加えて、新モデルWL-10Rを開発した。本モデルにより、これまでの準動直進歩行に静歩行ではあるが後退、左右側方歩行さらに左右転回を加えた面歩行を実現した(1歩4.4秒)。




WL-10RD (1984)

動歩行の実現:WL-10RD(昭和59年)

WL-10R号機の足首部および股部にトルクセンサを付加した機械モデルWL-10RDを開発、単脚支持相では設定歩行バターンを用いたプログラム制御、立脚切換相ではトルクフィードバックにより足首を柔軟にしたシーケンス制御を行うことで、世界初の動完全歩行を実現した。 (1歩1.3秒)。



[Next]    [Content Top]    


Copyright by Humanoid Robotics Institute, Waseda University. All rights reserved.