はしがき
私がロボットの研究を始めてから20年以上の日々が経過しました。本年、私が丁度還暦を迎えたことを一つのメルクマールとして、私の研究室におけるロボットに関する仕事を編年史としてまとめたのがこの小冊子です。
当研究室におけるロボットの研究は一貫して次のような観点から行ってきました。目標をたえず20〜30年先に設定すること。そのためにロボットの機能だけでなく形態と機能の両方に対し等しく力点を置くということ。いいかえると、21世紀がマイロボットとサイボーグの時代になるという見通しの下でテーマを選択してきたということもあります。
そのような考えの下で、ロボット技術の応用面を工業界のみに限定することなく、3次産業-いわゆるサービスの場への応用jと、また一方人間福祉という立場から医療あるいはリハビリテーションへの応用という二つの立場を強調してきました。
このような小冊子は、そのような観点からわれわれが行ってきた営みの記録です。益々、加速する技術進歩を考える時、将来ロボットがどのように展開されるかという見通しをもつことは大変重要なことです。そのためには過去の軌跡というか歴史をふまえて将来を展望することが必要です。この記録がその一助になればとおもいます。
昭和60年10月 加藤一郎
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